秋の深まりと紅葉

もみじの葉

 秋も深まり北の地方や山地では紅葉前線真っ只中といったところですね。
とりわけ今年の紅葉は1週間から10日くらい遅れているようなので、まだまだこれからが見頃ということです。
 そんなわけで今回は紅葉の代名詞でもあるモミジと紅葉のメカニズムなどについてお話していきましょう。

 紅葉の代名詞といわれますモミジは色づく葉を持つ植物を指す俗称で、一般的にモミジと呼ばれているものはカエデ科の植物で、日本には30種類以上が見られます。
 カエデ科の木は成長が遅く、1年でおよそ10センチほどしか伸びませんから、10メートルほどの成木になるまでに20年以上もかかるのです。
 そのため、カエデ科の木材は堅く、その堅さから、弦楽器やビリヤードのキュー、そしてボウリングのピンやレーンなどに使われています。

モミジ葉

 さて、モミジのことがわかってきたところで、本題に入っていきましょう。
 紅葉とは落葉植物の葉が落葉するに先立って、秋、紅色に変わることをいいます。日光に透かしてみると、葉脈が浮き上がって見え、葉のつくりがよくわかります。よーくみると太い葉脈から離れた所から赤くなっています。みなさんも一度見てみるといいですよ。


<< 紅葉と黄葉 >>

 まず、秋になり気温が下がると、木々は冬じたくをはじめます。葉と枝の間に離層【※1】ができ、水や養分を運ぶ管を閉ざします。そうしますと葉緑素を作るために必要な養分が葉に行き渡らなくなりますから自然と葉緑素が壊れ緑色が消えてきます。
 すると、今まで目立たなかったカロチノイド【※2】という黄色い色素が浮き出して見えます。これがイチョウなどの黄葉です。

オニイタヤカエデの黄葉
< オニイタヤカエデの黄葉 >


 また、葉が赤く色づくものは、葉の中に残った糖分が使われて、アニトシアニン【※3】という赤い色素が細胞内に広がります。これがモミジなどの紅葉です。

オミネカエデの紅葉
< コミネカエデの紅葉 >

 モミジやカエデなどの広葉樹【落葉】の葉が秋に紅色や黄色に変わることはご存じの事ですが、では、なぜ色が変わるのか知りたくはありませんか。これを知っているとちょっと自慢できるかもしれませんから説明しましょう。

<< 紅葉と黄葉のくわしい仕組み >>

 さあ、それではもう少し踏み込んで専門的なお話をしてみますね。
 先の項で、アントシアンとカロチノイドという色素が紅葉と黄葉を作り出す事はわかりましたが、問題はどんな行程を経てあのような綺麗な紅葉や黄葉になるのかということです。
 まず、紅葉や黄葉は色素が化学変化を起こし綺麗な色に変わるということはなんとなくわかりましたね。多分、私もそうでしたが、落葉前に葉に離層が出来、葉緑素が欠乏するようになると、それまで葉の中にあり見えなかったアントシアンやカロチノイドが目立つようになって紅葉や黄葉になるのではないのかとお考えでしょう。
 そこで、木の葉の中に初めからアントシアンやカロチノイドが含まれているかどうか実験をやった結果があります。
 モミジやイチョウなどの緑葉をすり鉢ですりつぶして、それをベンジン、アンモニア、塩酸といった薬品に入れて実験を行ったところ、モミジなどの赤く色づく葉にも黄色に色づく葉にもアントシアンはありませんでしたが、赤い葉のモミジにはアントシアンが検出されました。黄色に色づくイチョウなどには最初からカロチノイドがありました。
 いったいこれは、何を示しているのでしょうか。そうです、カロチノイドは元々葉に含まれていますが、カロチノイドは何等かのかたちで生成されるということがわかります。

モミジ葉

 では、どういった過程を経て生成されるのでしょうか。
 実は、今はっきりとわかっているのは、黄葉の仕組みだけです。それは至って簡単な仕組みなようで、先にも記述しましたが、秋になり樹木が活動を低調にして冬支度を始めると、葉柄に離層が出来、葉緑素を作るのを停止します。すると、葉の中に含まれていた葉緑素は分解し、それまで葉の中にあったカロチノイドの黄色が目立ってくるというものです。

 これに比べて、紅葉する葉の科学変化は難解なようで、緑葉から紅葉に変わるまでに、糖やアントシアンが生成されることがわかっています。紅葉の赤い色がアントシアンの色だという結果はわかっていても、アントシアンがどんなふうに生成されるかは、まだ完全に解明されていないのが現状です。あなたもこの研究を始めてみてはどうですか?うまくいけば学会に発表できる研究ができるかもしれません。昔から研究結果は意外な場面や体験から発見されているのですから・・・

<< 樹木はなぜ葉を落とすのか >>

 では、せっかくですから何故落葉するのか考えてみましょう。先ほどから「樹木が冬支度」をするという言葉が出てきていますが、これはなぜなのか最初に考えてみます。
 落葉樹は、年間を通じての目に見える活発な活動は春〜夏そして初秋までです。落葉すれば葉に栄養素を運び葉緑素を生成するための労力がなくなります。これは春〜初夏に一斉に花を咲かせ実を付けて種を落とすという大きな仕事を達成するために何等かの活動を休止しなくてはならないからです。人間もそうですよね。独身の時には稼いだお金は全部自分で使うことができますが、結婚して子供が出来れば自分の稼いだお金を奥さんや子供達のために費やさなくてはなりませんね。それでもちまちまとへそくってお小遣いを貯めることは可能ですね、そして貯まったお金でパソコンを買ったり自転車を買ったりも出来ます。【私のことかな?】 実は、落葉樹もこれと同じ事をしているのです。そうです冬にもしっかり仕事をしているのです。秋に落葉した後に樹木の小枝をよく見ると、小さな膨らみがあるのに気付きます。実はこれが冬芽です。冬芽は春になって素早く葉を出し活動するためになくてはならないものですから、冬のあいだも、あの鱗片葉(鱗のような葉)の膨らみの中でじっとしながら少しづつ大きくなっていきます。
 では、常緑樹(冬にも緑の葉を付けている樹木)は落葉しないのでしょうか。いいえご心配なさらなくてもしっかり落葉しています。では、どんなふうに落葉するのかというと、1年を通じていつも少しづつ落葉しているのですが、特に多いのは、春に新葉と交替するときに一番たくさん落葉します。
 この時にだいたい黄葉して落葉します。秋の深まりに乗じて紅葉や黄葉で山々が綺麗に色づくということは、広葉落葉樹が多いということになりますね。 

メグスリノキの紅葉
< メグスリノキの紅葉 >

<< 紅葉前線とは >>

 10月頃、北から順に紅葉が進みます。イロハモミジ(モミジの代表格)の紅葉前線はおよそ50日で日本列島を通り過ぎます。速さは1日平均27キロメートルです。

<< 静岡県の紅葉SPOT紹介!!>>

私が静岡県清水市出身ということもあって、静岡県の紅葉スポットを紹介しています。

●東部:伊豆天城峠〜箱根峠にいたる山地(伊豆スカイラインから箱根スカイライン)、大観山の頂上付近
●中部:富士山五合目(表富士山スカイライン)、富士川上流(西山温泉、奈良田温泉)、井川ダム付近
●中西部:大井川上流(寸又峡温泉)
●西部:水窪町

 ◇日本の紅葉前線 http://www.wnn.or.jp/wnn-f/special/koyo/ 【期間限定】

サトウカエデの紅葉
< サトウカエデの黄葉 >

<< 面白情報 >>

 どうしても緑のモミジを赤くしたい!という人は、是非試してみてください。ご家庭にある園芸種のモミジでかまいません【鉢植えの小さな紅葉が一番いいのですが、なければ枝ごと少し切って切り口を脱脂綿などで乾燥しないようにしたモミジを用意します。】、昼はしっかり太陽の光を当て、夜は冷たくして秋のような温度差を作り出すとよ、驚くことに5日〜1週間ほどでモミジが真っ赤に色付きますよ。というわけで、昼間は鉢を外に出し、夜は冷蔵庫に入れて冷たくしてみてください。モミジは見事に紅葉しますよ!
 清水は、暖かですから近くで綺麗な紅葉はなかなかお目にかかれませんから、実験と思ってお子さんと一緒に試してみるのもいいかもしれませんね。



【※1】:離層は、樹木が老化した葉を落とすために必要不可欠なもので、血液の循環を止めるようなものです。離層の形成は樹木が落葉するために必要不可欠なものです。【戻る】

【※2】:カロチノイドは、カボチャなどの黄色野菜などにも大量に含まれている色素成分です。【戻る】

【※3】:アントシアニンは、人参やトマトなどの赤い野菜などに多く含まれる色素成分です。【戻る】

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