家庭でも出来る自然の取り戻し方(ビオガーデン)

BIOTOPE

 経済が発展して、何不自由なく暮らせる世の中ではありますが、なにか足りないとお思いの方は以外と多いようです。 そういった方たちから必ずといっていいほど聞くことが、身近に自然を感じる機会が少なくなったと言います。ようするに家の周りに野鳥などがこなくなってしまったということなのです。むかしの家ですと、庭木にザクロ、カキ、ヤマモモ、ミカンなどの木が植わっていて小さな池などもありましたから、野鳥が木の実を目当てにやってきたり、木陰で休んだり、アゲハ蝶は柑橘系の木にやってくる、池にはトンボが産卵にやってくる、といったように小さいながらも自然の生態系がそこにありました。特に野鳥はそこにある自然の状態を知るためのバロメーターですから、野鳥がいるということは、餌がある、餌は木の実や虫(毛虫など)などですから、野鳥が生活するための環境があると言うことになります。【種の多様性】

 最近の戸建ての家には、小さいながらも庭もあり、庭木も植わっていてなんとなくこじんまりして格好がいいようにも見えますが、そこにある庭木のほとんどは実のならない木だったり、園芸種である針葉樹が多く目につきます。これですと庭に野鳥を呼ぶための最良の環境とは言えませんが、こういった庭も少しのアイテムを加えるだけで自然をもっと呼び戻すための庭に変えることができるのです。

 最近よく、ビオトープとかビオガーデンという言葉を耳にすることがあると思いますが、いったいどういう意味なんでしょう。
 もともと、ビオトープビオは、バイオ(BIO)と呼ばれていて生物の意味を表します。それにトープ(TOPE:場所や地域の意)を合体させた複合語としてビオトープ「自然生態系の場」という意味で理解していただけるとよいでしょう。すなわちビオガーデンは「自然生態系を生かしたの庭」と言うことになります。

庭にある野鳥の餌場

 それでは、ただ単にビオガーデンというものをつくれば野生生物がやってきてくれるのかと言うとそうではありません。ビオガーデンは人間だけの作業で作れるものではありません。私たちが出来ることは、その庭がビオカーデンとして機能するための環境整備をするだけなのです。 
 つまり、自然生態系の場としての要素を取り入れることなのです。すなわち、自然を呼び戻すための環境づくりと言うことです。
 自然の森は当然自然生態系としての要素は当然満たしているからこそ野生生物が生活しているのですが、それをそのまま人工的に作ろうとするのは大変な労力と費用がかかります。でも、そんなに大それた事をしなくていいのです。
 あなたの家の庭に自然を呼び戻すための要素を少しだけ取り入れればいいのです。そうすることによって、野鳥や昆虫があなたの庭に戻ってくるのです。

【ビオガーデンを作る時の条件】

 下に示すのは必要な順番です。

  1. 野鳥の餌場を作る。
  2. 水場を作る。
  3. 野生動物が好きな木や花を植える。
  4. 野鳥の巣箱を設ける。

 上の条件を見ますと、「うちでは無理だなぁ。木を植え替えるなんて・・・ましてや池を作るとなるとねぇ・・・」という方がいるかと思いますが、心配はいりません。
 今あなたの家の庭にちょっぴり自然の要素をスパイス的に取り入れるだけで自然が取り戻せるのです。もちろんマンションなどの共同住宅にお住まいの方にもですよ。
 それでは、まず上の条件にある順にどうしたらいいか考えてみましょう。

●野鳥の餌場(レストラン)を作ろう。

 それでは、まず庭や軒・マンションのベランダに野鳥を招くための餌場をつくってみましょう。どんな餌場を作るのかといいますと、下の絵をご覧ください。
 四角いテーブル形のバードフィーダー(餌場)がありますね。木工作が好きな方でなくても簡単に作れると思いますよ。 そんなに格好を気にすることはありません。問題は餌場を作って野鳥を招待することなのですから是非作ってみてください。
 そして、餌場はできれば人気があるところから少し離れたところいいでしょう。また、ネコやカラスにも注意が必要です。そうすれば、野鳥も安心して餌をついばむことが出来るでしょうから。

自作木製野鳥の餌台

 

餌台の様子

◆昆虫食の小鳥も餌の不足する晩秋から冬にかけては、植物質の餌も食べます。この季節に餌台や決まった庭石の上などに下図のような餌を定期的に用意して栄養を補給してあげます。

◆牛や豚の脂身は真冬に用意してあげましょう。

◆春から夏にかけては、庭木などにつく虫を食べてもらうためにも、餌を置くのは控えた方がいいでしょう。



※ ヒマワリの種やミルワームなどは、ペットショップなどで手に入ります。脂身は大きな 木があれば、幹にネットで固定してもよい。カラスやネコに要注意。

【Bird Menu】

  ジュース
  ハチミツ

リンゴ、ミカン

ヒエ・アワ
 ハト用飼料

ヒマワリの種

脂肉

キジバト        
ヒヨドリ      
メジロ    
シジュウカラ      
ウグイス    
カワラヒワ      
スズメ      
ムクドリ      
オナガ      

 庭やベランダの様子

●水場を作ろう。(水場に自然の生命が宿る)

 鳥はよく水を飲み、羽の手入れのために水浴びをします。水たまりのような浅い池が好きですから、家の庭やマンションのベランダにお盆のような広い容器に水を張っておくのもよいでしょう。
 このような水場を作るだけでも確かに野鳥は来てくれるでしょうが、どうせ水場を作るのでしたらもっと面白い試みをしてはどうでしょうか。
 水場は自然環境にはなくてはならないものですから家の庭に水場を作ることは、自然を呼び戻すための一番の方法です。ですから庭に池があれば一番いいのですが、「池を作るとなると工事が必要だしお金もかかる。」とお思いでしょう。
 いえいえ、大丈夫です。ここでは、お金も手間もかけないで自然を呼び戻す方法をお教えします。
  それではまず、下の図を見てください。

簡単に出来る発泡スチロール水場

 これは、発泡スチロールの箱を利用して小さな池をつくる方法です。見れば簡単な構造で作り方はめっぽう簡単です。魚屋さんやスーパーに行って鮮魚用の発泡スチロール製のトロ箱をもらってきます。そこに透明のテーブル用ビニールやハウス用ビニールなどを敷き水を張ります。 特徴としては、鳥が水浴びをすることが出来るように池の中に浅瀬が出来るように平たい石を置いてあり、池の一部が日陰になるように木の板を渡してあります。

 これをどうするのかと言いますと。一戸建ての家ならば庭に置き、マンションであればベランダに、屋上がある家でしたら屋上に置いてみてください。これを置くと何が起こるかと言いますと、まずこの池に鳥がやって来て水を飲んだり水浴びしたりします。ここまでは、単に野鳥を招待するためだけの水場の提供でしかありませんが、面白いのはこの後です。
 野鳥は、あちこちの水場で水浴びをしています。この時に水生昆虫の卵をからだや足に付着させます。そしてそのままの状態で行動していますから、そういった水生昆虫などの卵が付着したままで、あなたの自宅の水場にもやって来るのです。そうして、また水浴びをしたりすることで、からだの付着物を水場に置いていきます。数日後にその卵がふ化して、何もいなかった水場に生命が生まれます。

 この時に、注意しなくてはならないのは、水浴びをした水を入れ替えたりするときに、全部の水をこぼしてしまわずに、たとえば、2分の1の水を他の容器に移してから、水を足すことです。ようするに、鳥が水浴びした水は捨てないことです。ですから必然的に、水場容器はあなたの庭の広さに応じて複数必要になります。

 私が以前行ったところでは、ミジンコなどのプランクトンは当然のことながら、川エビ、やヤゴなどがふ化し、水草も増えました。設置する場所で一番いいところ【たくさんの水性昆虫がふ化した場所】は、マンションの屋上【地上12階】でした。これは、たくさんの鳥が建物の屋上で休んだり水浴びをすることを意味しています。とはいえ、マンションのベランダや地上の庭でもなかなかの成果が得られたのも事実です。

●野生動物が好きな木や花を植える。

 ご自宅の庭のスペースの問題などもあるので細かな説明は省きますが、野鳥が好きな実はたくさんあります。例えば秋にはヤマモモ、ザクロ、イチジク、イヌビワなどなど、昆虫がいなくなった秋から冬には、人間の食べる実を鳥たちも食べますし、冬になればネズミモチやピラカンサなどがあります。(ドングリ系も食べます。)
 冬の木は、色がなくなる時期に庭を飾ることを目的にして、小木が園芸店やDIYショップのガーデニングコーナーなどで売られています。
 前にも書きましたが、春から夏になると鳥たちは昆虫食になる鳥が多いですから、木の実を食べなくなりますが、庭木についたケムシなどをたくさん食べてくれます。
 柑橘系の樹木はいろんな虫がつきますがそれを狙って野鳥もやってきます。農薬などを散布して駆除することは簡単ですが、鳥に駆除させてあげてはいかがですか?葉がケムシに食われるということは、安全な証拠ですから鳥たちも喜んで寄ってきますよ。そうすることによってあなたの庭に小さいながらもすばらしい自然が帰って来るのです。

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