林野庁の林野行政
国有林は国土の20%、森林面積の約30%を占めている。この豊富な森林は、戦後の復興や朝鮮戦争などで木材需要の高まり、1964年の東京オリンピックなどで次々と増伐された。そして国内材の値段が高まる傍ら61年から外国材の輸入が始まった。しかし、政府は"木材が必要である"ということしか頭になかったため、将来国内材が圧迫されことなど考えもしなかったのだ! さらに64年には外国材の輸入は全面自由化になった。
高度経済成長時代に入ると拡大造林が始まった。拡大造林とは天然林を伐り払って成長が早い人工林に変えていくことで日本ではスギ、ヒノキ、カラマツに変えられた。その結果、現在では全国で1000万ヘクタール以上にもなった。しかし、その後石油やガソリンの普及、安い外国材の流入により国内林業は不振に陥る! よって国内自給率は22%になり、国産材の価格は落ち続け人件費は上り続けた。その結果国有林、民有林ともに伐採後の手入れが行き届かなくなり山は荒れ放題になってしまった。
3兆5000億円の赤字への歩み
林野庁は、国家企業の一種として国有林経営の成果や財政状態を分析し事業能率の増進や経営の合理化を図り、林産物の安定供給はもとより、森林資源の保全管理に貢献するために設けられた、国の一般会計から分離された林産物販売による独立採算制会計制度をとっている。
本来は国有林からの収入を全額国に拠出せず、植林、下草刈り、間伐などの経費を確保するために生まれた独立採算制であるが、現在では、国有林から得る収入では、先に述べた外材輸入の自由化によって国内林業は不振に陥り、森林保護どころか林野庁職員の人件費すらおぼつかない状況である。こうして毎年積み重なる赤字は、一般会計から繰入れし、その赤字を財政投融資から新たに借り入れるという悪循環をくりかえした。そして、ついに96年度の累積債務は3兆5000億円にものぼってしまったのである。
この赤字を埋めるべく、主に東北の森林、青森ヒバ、秋田杉が伐採され、林野庁職員の人員削減のために必要な退職金もブナ林をきっておぎなおうとしているのだ。さらに林野庁は木を伐るために必要な林道をつくるはずがいつの間にか将来、県道に格上げされて舗装され観光道路になっていくための道路"スーパー林道"にまで手を出してしまったのだ。
流域管理システムの提唱
92年に林野庁が国有林改善計画で発表した。これは"川上で木を育て、その木が育つことによって水源を守り、水をきれいにして川下の人のための水を作る"ということを基礎に置いて川上で育てた木を伐って川中で製材して、それを川下で使う。もしくは売るというように国有林も民有林も一緒になって"流域活性化センター"を設置する。その中に営林署や学識経験者、建築業者、民間林業労働者などが集まって活性化協議会を作る。その協議会で上流から下流までを一つのグループとしてまとめ生産から製材販売まで一元化するという考え方である。
この方式は全国158の河川流域ごとに展開されており、いくつか成果をあげている地域もある。日本の林業を近代的な企業形態として確立するために、生産から販売までを一体管理しようという試みであり、川上から川下までまとまっていこうというのが流域管理システムである。しかし、これは本来、外国材の輸入自由化の時に考えておかなければならなったことでかなり遅れて出てきた試みである。
今後の林野庁
早急に独立採算制を廃止し、荒廃した国有林を経営形態も含めた改革が必要とされる。また橋本行政改革において11月21日の省庁再編において林野庁は農水省下におかれたままであるが林野行政の一部は環境省の中に組み込まれた。今後、林野庁の莫大な累積債務の処理と国有林野事業の改革が早急に対処して欲しいものだ。
|