森 林 の 生 態
|HOME|
ここで言う、生態とは、自然の成り行きのまま出来上がっていく生態と、人工的に作られる、主に林業を中心とした造林などによって作られ生物に影響され出来上がる生態を総合的に考えたものです。
1.森林の生態
森林の生態とは森林の生活活動とそれを取り巻く環境との間にみられる様々な現象の総称。
※ポイント
@環境は森を作り、森林は環境を作る。
A森林は樹木を主体(中心)にした様々な生物の集合体。
B無機的環境と生物相互間のやり取りを通して共同体としての生命活動維持。
2.森林生態系
森林を取り巻く環境と森林群落を形成する生物体との間には、物質(水)とエネルギー(太陽)の流れで結ばれた一つのシステムが形成されている。
ポイント
@一次生産者 (樹 木)
A二次生産者 「消費者」(動 物)
B分 解 者 (微生物・菌類) ※食物連鎖
C森林生態システムは自己施肥能力を有している。
D生物と環境及び生物相互間のつながりのもとにバランスを保ちながら動いている森林の生物共同体を森林生態系という。
3.森林の成立する環境と森林が作る環境
(1)森林の成立する環境
※水と温度の条件が満たされることで成立。
@気候
気候によって、そこに生育可能な植物や動物は自ずと変わり、樹種の生活型は気候により特徴を有し、相観を形成する。
A温度
1.植物が生理的に活動できる温度(0°C〜50°C)
2.光合成最適温度(20−25°Cのものが多い)
B 水
(1)光合成に必須の物質。
1.養分の輸送
2.光合成生産物の輸送
3.蒸散作用による葉の温度緩和
4.葉の形を維持
(2)水分の吸収
1.土壌水分の重要性
2.土壌の保水性(保水能)細根による吸収
3.空中湿度(蒸散作用)により水分の調整※森林生態系に関する水の循環は気象や気候の条件及び水源かん養にとっても重要な意味をもっている。 C二酸化炭素と養分
光合成生産物(糖)の要素
1.炭素
2.水素(水+二酸化炭素の形で樹木に吸収)
3.酸素(樹体形成には)
(イ)有機物生成
(ロ)生理過程に必要な触媒窒素とミネラルが必要
(ハ)生命維持
D土壌・・・母材上に系の過程で生成されたものが積み上がったもの。
E攪乱要因
1.台風
2.嵐森林再生メカニズムとして森林生態系の重要な機能である。 3.火災 ※日本では、天然林の世代交代の要因は圧倒的に台風である。 F地球的規模の環境変化
※二酸化炭素・メタンの増大(温室効果ガス濃度の高まり)
地球温暖化
1.これらによる森林を取り巻く環境の急速な変化
2.環境の不確定要因の増大
3.炭素固定機能が激減
4.土壌の破壊・崩壊・流亡
4.競 争
(1)環境要因を求めての競争
1.土壌条件
2.水分条件(種ごとの優劣関係発生)
3.温度条件(立地条件)
4.光 条 件
※生態系の中で種の適応していく過程を「生態的地位」(ニッチ)という。
競争の結果が遷移の原動力となる。
5.森の移り変わり(遷移)
@森の移り変わり(遷移)
森林が、それぞれの立地条件に応じて時間とともに変化。
1.一次遷移:群落完全消滅状態(繁殖源無し)からの出発
2.二次遷移:すでに繁殖源のある状態で出発
極相とは・・・
陽性植物から耐陰性の高い樹種へと変化し、耐陰性樹種がその構造を維持しながら安定的に更新が繰り返される状態。
※(パッチ構造:攪乱後の自然修復繰り返し)※遷移・極相ともに攪乱の頻度などの関係から必ずしもこの概念
にとらわれることが一般的ではなくなってきている。Aモザイク的複雑さ(パッチ構造)
複雑なパッチ構造の原因
1.台風の頻繁的被害(ギャップが複雑)
2.地形の複雑さ
3.気候の変化が大
4.樹種が豊富
B森林の発達段階
1.更新段階(林分成立段階)・・・裸地化から植物発生(種の多様性高)
2.若齢段階(強度閉鎖段階)・・・高木性樹種による閉鎖
3.成熟段階(低木層成立段階)・・林床全体の光環境が良くなる
4.老齢段階(階層発達段階)・・・高木性樹種の衰退枯死(ギャップ)
(イ)択伐林に近い林分構造となる。(更新の繰り返し=極相となる)
(ロ)階層構造の発達により動物の生息場所を与える。(多様性優れる)
(ハ)多様生物の安定的バランス維持機能(成熟土壌構造、保水能優れる)
※林床の植物が豊になり多様性をおびる。
6.森林の更新(世代交代)
更新の方法
@種子による更新(下種更新・実生更新)「生殖繁殖」
A根株・根からの更新(萌芽更新)「栄養繁殖」
B技条の接地発根・独立個体(伏条更新)「栄養繁殖」
※樹種の生存戦略やそのときの森林環境等により更新する樹種も様々となりその後の樹種が占める割合が決まってくる。
7.森林のタイプ
@単 純 林と混 合 林
A針葉樹林と広葉樹林
B常緑樹林と落葉樹林
C単 層 林と復 層 林
※森林は、老齢化すると復層林化してくる。
※人工林も林齢が増すと(100年以上)機能的には天然林と似てくる。
(同一種の木が同様にあることから手入れが行き届かないと気象災害に弱点を有しており、生物の多様性にも欠けることから同タイプの森林を集中させないなどの工夫も必要である。)
8.日本の森林帯
@気候の特質
1.四季の変化(気候的厳しさ)
2.黒潮(太平洋側)と親潮(日本海側)の影響
3.緯度的気候の違い(Aにも共通)
A地形の特質
1.複雑急峻(狭い国土に高山あり川あり海に面している)
2.土壌条件の複雑化
※@Aから植物の種類が多様化することにより、自ずから森林のタイプも複雑化している。
9.天然林と人工林
天然林と人工林の違いは、更新が天然であったか人工的に行われたかによる。
@人工林の更新方法
1.種子散布 (雑草木の繁茂が激しくほとんど不可)
2.挿 し 木 (林内直挿しが少量実施が実状)
3.苗木植栽 (日本での人工林更新のほとんど)
A天然林の更新方法
1.天然(全く自然のまま)
2.更新手助(種子が発芽し芽生えしやすいように林床の手入れや下刈等) 3.保育(生育のための枝払、間伐等)
B生態的適地と生理的適地
1.生態的適地とは・・・生態的地位(ニッチ)による競争の結果到達する自然分布域をいう。
2.生理的適地とは・・・競争がなければ、最も良い成長を示す立地をいう。
10.これからの森林施業
@天然林・天然性林・・・法律により保護し育成
A人工林・・・・・・・・生理的適地を獲得し木材生産と育成により二酸化炭素固定することにより環境保全機能及び国民の健康保全公共性の維持等、多目的利用を考慮していく。また、長期伐施業により成熟段階以降の森林植生の多様化により天然林的要素の増大と水土保全的構造効果をめざす。
|HOME|