森林の重要性
 
HOME
 

T.地球環境と森林
 


 

1.生態系とは・・・ 「あるまとまった地域に生活する生物の全てと、その生活域を満たす無機的環境が成す系」(吉良)であり全ての生物と環境を一体のものとして捉えた概念である。
 そして、これらの物質循環(自然界のリサイクルシステム)を中軸とした生物と環境が成すシステムである。
 
2.二酸化炭素が増えている
(1)二酸化炭素濃度の上昇
 大気中の二酸化炭素濃度が上昇していることは、今や誰もが知っている。19世紀末には290ppm程度であったその濃度は、1990年には350ppmに達した。 このことは、大気の二酸化炭素濃度0.03%という過去の常識値を0.04%と書き替えることを意味している。そして、このまま増加が続けば、21世紀の前半には600ppmに達するという。
(2)地球温暖化
 二酸化炭素濃度の上昇が続くことにより心配されているのが、「温室効果」による地球温暖化である。 これは、ただ地球の大気温度を上昇させるだけではなく、これにより極地の氷が溶けたり、海水の膨張などから海水面が上昇する。
 また、大気の急激な変化による気象変動が地球のあちらこちらで起こるといわれている。人類の将来を制しかねない二酸化炭素濃度上昇の原因として、誰もが思い当たるのが、石油等化石燃料の燃焼である。しかし、その原因がもう一つあり、それが世界的な森林破壊であることは、案外知られていない。
 
3.森林と二酸化炭素
(1)炭素の放出と二酸化炭素の固定
 @大気中炭素の年間放出量
  1. 化石燃料燃焼・・・・・・・・・60億トン/年  
  2. 森林破壊※1・・・・・・・・・・30億トン/年
 A森林と二酸化炭素
 森林はその光合成によって、大気中の二酸化炭素を大量に取り込み蓄積している。 全世界の森林が保有する炭素量は大気中のそれの2倍にも当たる計算となり、この意味で森林は炭素の貯蔵庫といえる。(二酸化炭素固定※2
 安定した森林では、光合成で取り込むのと同量の炭素が、呼吸や有機物分解によって大気に戻されるのが本来の姿である。しかし、人口急増に伴う農地造りのため大がかりな森林伐採や森林を焼く方法が行われており、途上国を中心に急激に進む森林破壊によって、大気への放出量を大きく上回る現状にある。
森林消滅面積は毎年1,540万ha(1分間に29haづつ!)に達していることが最大の問題である。
 B二酸化炭素濃度の制御
 大気中の二酸化炭素濃度が上昇すれば森林が、その分だけ盛んに光合成をおこない、濃度引き下げに働くことにが期待される。森林はその意味で、炭素の自動制御装置ともいえる。しかし、それに働くべき森林自体が減少してしまっては話にならないのである。
 
4.森林は地球環境のバックボーン
(1)森林の生育可能箇所
 @地球陸地の1/3森林には地球上の植物量の90%が詰め込まれ 植物生産の43%が行われている。
 A地球全面積の1/11
 ※1「森林破壊」  
 森林破壊の多くは、発展途上国での無計画な農地開発等のための森林伐採である。伐採された丸太のほとんどは、薪として燃料材となり燃焼後は、大気中に炭素が放出されていくことになる。森林破壊の大きな要因は、貧困にあるとされており、世界的な問題となっている。しかし、この現状を発展途上国の当事者に理解させようとしても、すぐには無理である。だが、先進諸国が協力して、環境保全教育や技術協力、また経済協力により森林破壊を無くしていくことが大きな課題である。
 
 ※2「二酸化炭素の固定」
 樹木は、光合成により大気中の炭素を摂取して無機物を生成し、肥大成長していく。この成長した分の材は、紛れもなく炭素が同化したものであり、大気中の二酸化炭素を逐次吸収固定化(大気中に戻さない貯蔵庫の役目)している。森林が地球環境保全のため二酸化炭素固定機能という重要な役割を担っており注目されているのはこのためである。

 


U.身の回りの環境と森林
 


 

 1.森林の環境保全的効用
  @気 象 緩 和 : 気象条件緩和、地温条件緩和、湿度調節、木陰、防風、防霧、熱汚染緩和
  A水  保  全 : 水量平準化、水質良化、降水量増加
  B浸 食 防 止 : 水食防止、風食防止、雪食防止
  C自然災害防止 : 山崩れ防止、洪水害防止、干害防止、風害防止、飛砂害防止、潮害防止、吹雪害防止、雪崩防止、落石防止
  D防     火 : 延焼阻止、災害時の避難地として
  E大 気 浄 化 : 二酸化炭素吸収・貯留、汚染物吸収、塵埃吸収
  F騒 音 阻 止 : 道路や家の遮音効果 
  G環 境 指 標 : (環境変化を植物の反応で判断)
  H生物種保全 : 野生鳥獣魚保護、遺伝子保存、外来生物種侵入阻止
  I保健休養・風致 : 薬効物質揮散、精神安定、保養の場、行楽・娯楽・スポーツ、景観・風景の構成、風土の風格、快適性提供、プライバシー保護(目隠し)
  J教養・教育 : 情操培養、教育の場と材料提供、芸術や科学の材料
(1)固有効果と対症効果
 @固有効果: 理屈抜きの気持ちの問題、メンタルな効果で森林固有の効果(森林以外の他の何物によっても代替えできない効果である。)
 A対症効果: 森林以外の他の手段によっても代替え可能なもの。
(2)数量的表現が困難である。
 森林の固有効果は、人間の心理的な面に関係するものだけに、本来自然科学的な解析が難しく、数量的に表現しにくい。 しかし、昔から十分に森林の恩恵を受けていることの重要性を忘れてはならない。

※ 数量的に森林の効用を表そうとすることは、モナリザの絵を、絵具代とキャン
 バス代にダヴィンチの日当を算出して算定しようとするようなもので、トータル
 としての森林価値を数量的に表現することは、今のところ不可能であり、数量化
 不能である森林の価値をどう評価するかが課題である。